「うちの子、なんだか発達に遅れがありそうな気がする…」
「このままで大丈夫なのかな~」
こういう不安や心配をお持ちの保護者も少なくありません。
でも、どこの誰に相談するのが一番良いのか分からないまま、日にちがたっているというお母さんに知ってほしい情報です。
ずばり、結論を言うと、
『スクールカウンセラーにまず、相談しましょう!』
目次
スクールカウンセラー(SC)とは
スクールカウンセラーは、通称「SC」とも言われ、公立の小中学校に配属されており、教育相談室にて相談を受ける専門の相談員のことです。
不登校やいじめが小・中学校で表面化してきたころから、こどもたちの心理面でのよりどころとして、全国的に配置されるようになりました。
スクールカウンセラーの配置は国と地方自治体の業務になります。
基本的には臨床心理士が1校につき一名配属されます。
その他に 相談室をより効果的に活用するために、もう一名市区町から相談員としてのスタッフが配属されていることが多いです。
これら2名の相談員は勤務日は異なりますが、情報を共有し連携しながら、校内での心理面の支えになるため活動しています。
スクールカウンセラーがしてくれる事
スクールカウンセラーの業務は年間の勤務日数が定められており、一日5~7時間程度学校に居て、相談を受けたり子どもの様子を観察したりします。
そして行動観察で得た専門的な観点による子どもへの指導や配慮の留意点を、校内の先生方に助言するのも、カウンセラーの仕事です。
学校内に勤務している曜日・時間帯などは、学校の毎月のおたよりや≪相談室のおたより≫などで明らかになっているので、そこで確認するのが良いでしょう。
また、関連する近隣の外部機関(教育相談所、医療機関、支援機関等)の情報も持っているので、教員や保護者が知りたいときにはいくつか教えてもらえます。
問題を解決するために今後の方針を決めるときにも、それぞれの機関による支援の目的や違いなども教えてくれます。
スクールカウンセラーに相談する利点
小中学校の相談室に関しては、ほとんどの学校で、学校からのお便りに開室日や担当者がわかるように載せています。
しかし、その情報を保護者が必ずしも熟知しているとは限りません。
相談室を利用したことが無い人のために、スクールカウンセラーを利用する利点について述べていきます。
教員とは異なる目線で子供をみてくれる
お子さん自身が相談室に来室しお話に来たときの状態はもちろん、授業中のこどもの様子もお願いすれば観察してもらえます。休み時間などでのお友達との様子も見てもらうことができます。
学習面やクラス内の状態だけでなく、子どもが学校生活の中で困り感を感じていないかを注意深く観察するのが、スクールカウンセラーの大事な仕事の一つです。
保護者、こども 両方へのケアサポート
保護者からの相談申し込みは、保護者への面談が主になりますが、状況により「お子さん」「お母さん(またはご家族)」の双方の面談も可能です。
低学年の場合、子どもが不安がらないようにと一緒に面談(親子面談)する場合もあります。
また、逆に子どもと親を個別に面談する場合もあります。
まずは親が申し込み、子どもにも相談を促すことで進みますので、この場合でも強制的に子どもだけの面談をすることはありません。
またほとんどの小中学校では、子どもたち自らが相談室を利用できるようになっており、カードや口頭で、『お話ししたい』 と申し込むことができます。この場合、時間帯は休み時間とか放課後を利用することもあります。
高学年の子で親との関係を相談する場合などは、担当者を親子で別々にするなどの配慮もします。
思春期に差し掛かる5,6年生では、相談を申し込む子どもも増えてきます。
このようにして「困った時には、カウンセラーに相談できる」という選択肢を持つことができ、子どもたちは学校生活を安心して送れるようになっています。
持っている知識・情報が豊富
もともと心理の方の研鑽を積んでいるからこそ臨床心理士の資格が取れるので、専門的な知識が豊富です。
発達に遅れのある子どもに対しては、子どもの相談に乗るだけでなく、その対応や配慮に関しての助言を先生方にすることができます。
また、発達障害を気づいてもらえないために起こる二次障害の危険性もよく知っており、学校側に上手に状況や原因の説明することも可能です。
面談スキルとしては『穏やかに、安心して話してもらうことを心掛けている』ので、保護者が相談した場合、相談室で話しを聞いてもらうことで不安が軽減されることが多くあります。
決して「育て方が悪い」などの見方はしないので、保護者は安心して困っている状況を話すことができるでしょう。
発達の遅れだけでなく、不登校や登校渋りの状況にも、保護者にとっての大きな助けになります。
根気強く子どもの心を解きほぐしていくスキルもあるので、学校への不安を感じているお子さんにもぜひ勧めてあげてください。
発達検査の結果の見方も教えてもらえる
学校を通さずに個人的に医療機関等で発達検査を受けられた方にも、ぜひ相談の場として活用していただきたいと思います。
発達検査(WISC、田中ビネー等)を受け検査の結果を受け取ったものの、そのように解釈したら良いのかわからないことも多いと思います。
検査結果を数値ではなく、子どもの生活上の困難さに対しての周囲の人の対応・配慮を中心に考えていきますので、発達の特性に応じた適切な対応に関するアドバイスをしてくれます。
必要な場合には、担任との情報共有等、校内での連携が可能
相談内容によっては、学級担任やお子さんの関わりのある先生がたとも情報を共有し、お子さんの学校生活が落ち着いたものになるよう、協力して考えていく役割も担っています。
家庭での対応の仕方だけではなく、保護者の了解のもとクラス内での適切な配慮を担任と相談し、周りの子に理解してもらうように工夫していきます。
学校の教職員への助言も重要なスクールカウンセラーの仕事なので、専門的な見地からみた適切なアドバイスをしてくれます。
守秘義務があるので、安心できる
担任の先生とどうも相性が合わない場合が、保護者にとっては一番厄介な状況ですね!
困りごとがあっても担任には相談できず悩まれているときこそ、スクールカウンセラーに相談してください。
このような場合も、相談室での相談内容は「学校の先生には伝えないで欲しい」とお願いすれば、スクールカウンセラーには守秘義務があるため、口外しないでもらえます。
ただし、お子さん自身に生命の危険が生ずると判断した場合は、子どもの安全のため例外となります。
継続して相談できる
1回の相談時間は30分~1時間程度です。
SCが今後も定期的に面談が必要だと判断した場合、「定期的に相談されますか?」と聞かれることでしょう。
また相談された人の方から、引き続きしばらく相談したい旨を伝えれば、応じてもらえます。
受けている相談件数にもよるので一概には言えませんが、毎月1回とか2週間ごと予約するとか決めてくれます。
カウンセリング初体験の機会としても良い
実はこれが一番大事なことかもしれません。
保護者にとってご自身の問題でカウンセリングを受けることはためらうかもしれません。
しかしながら、大事な我が子の困っている状況を何とかしてあげたい気持ちが、思い切って相談しようというきっかけになるのです。
日本ではなかなか「相談」や「カウンセリングを受ける」習慣が広まっていないのですから、躊躇するのも無理ないことです。
そして、自分に対して「親として間違っている」と言うような批判や非難が向けられるのではないかと心配になるかもしれません。
その不安から ≪相談しに行く≫こと自体をためらってしまうと思います。
こんな方にも、手始めにスクールカウンセラーや学校の相談室の利用をお勧めします。
学校の相談室をまず体験してみて、カウンセリングの効果を実感出来たら、民間や外部機関の相談室も必要に応じて利用できるようになると思います。
あくまで相談するという体験の第一歩であり、学校の教育相談室で全てが解決するわけではありませんが、≪相談する≫ことの必要性を感じてもらえればよいと思います。
基本的に無料
民間の相談機関(カウンセリング)は、かなり金額が張ります。
それも1回で済むならばよいのですが、なかなか一回のカウンセリングでは解決できるものではないので、相当の出費は覚悟すべきでしょう。
その点、スクールカウンセリングは金額面での心配が要らないので、経済的に余裕が無いご家庭でも安心して利用できます。
ただし、他の人もいろいろな相談希望があるので、相談室の開いている時間を公平に利用してもらうことが原則なのは当然のこと。
スクールカウンセラーへの相談に関しては、あくまで一般常識の範囲内での利用を守ってください。
必ず守っていただきたいのは次のようなことです。
- 短い期間内で次々に面談の予約を取らない。
他にも多くの相談希望者がいるので、一人に偏りが生じる場合は、しばらく面談期間をあけてお待ちいただくこともあります。
- 予約のキャンセルや変更はできる限り速やかに。
また、信頼関係の上に成り立っていますので、変更等の場合は早めの連絡が基本です。
さらに、基本的に勤務時間外のSCへの連絡や相談はできませんので、ご注意ください。
まとめ
今回お伝えしたように、スク―ルカウンセラーとは専門性と柔軟性を持ち合わせた、学校の中での貴重な役目を担う人です。
元々不登校やいじめに対しいち早く対応するために小中学校に配置されて行ったのですが、今では発達の遅れを心配する子のサポートにとっても、欠かせない存在になっています。
ですからお子さんの発達の遅れが気になるときには、ぜひカウンセラーにご相談することをお勧めします。
発達検査を受けるメリットや、様々な発達障害に関する書籍、さらに親自身が発達について学べる学習会や機会なども教えてもらえるので、もう一人で悩むことはなくなります。
今回は相談室の利用に関しての一部分しかお伝えできなかったので、後日またお伝えしていこうと思います。
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