漢字は「新出漢字早見表」の活用で、やる気をアップ!

このブログでは、子供たちのいろいろな苦手場面をサポートするお助けグッズを紹介します。

お助けグッズの第一弾のテーマは『漢字』です。

「 新出漢字早見表(学年別)」の活用 を取り上げます。

 

どんな人でも、「小学生の時、漢字の練習には苦労した」という印象を持っているのではないでしょうか。

大人になっても、普段使わない漢字は忘れたり、まちがえたりすることが多いですね。

特にパソコンの普及と共に、変換機能という便利さと引き換えに、正しい漢字を書く機会が減ってきました。

「やはり漢字は書いていないと残らないな」ということを最近特に感じています。

 

 

小学生が覚える漢字の数

子どもたちが小学生時代に新しく覚える漢字は、いったいどのくらいの量になるのかを調べてみました。

1年生    80字

2年生   160字

3年生   200字

4年生   200字

5年生   185字

6年生   181字

 

単漢字のみの合計でも、1006字です。

これに加え、音読み、訓読み、送り仮名、熟語 が入ってくるのですから、やはり覚える量はかなりなものになります。

 

2年生の後半ごろから、苦手な子と得意な子の差が少しずつ表れてきます。

やはり、新出漢字の進み方や量の多さのため、子供によって取り組み方の差が出始めることで、

漢字の習熟度に影響しているようです。

 

 

漢字の得意な子と苦手な子の、見てわかるちがい

一年で約200字近くの漢字をきちんと覚えるのは、本来どの子にも大変なことのはずです。

どんな点が得意さにむすびつくのだろうかと、さらに観察してみました。

 

漢字が得意な子を見ていると習った漢字をできるだけ多く使う習慣がついています。

さらにていねいに書くゆとりまでもあることに気づかされます。

字も揃っており、読みやすいので、きっと周りの人から褒められることも多いでしょう。

 

逆に漢字の苦手な子の場合を見てみると、やはりひらがなで多く書いてしまう癖がついているようです。

いつの間にか「漢字はめんどくさい」と思い込んでいるのでしょうか。

なかには、字を書くことにあまり気が乗らないのか、どちらかと言うと書きなぐりに近い雑な字を書く子も多く見られます。これでは、書き直しのチェックが入ることも予想できます。

苦手な子の場合、漢字を書くことに気持ちが向いていないから、覚えていくのも困難なうえ、雑に書くから一層覚えにくく、書き直しの回数が多い。

 これでは完全に負のスパイラルに入っていますね!

 

漢字がいつの間にか得意になった子に聞くと「新しい漢字を覚えるのが好き」と言っていました。

また、「漢字練習をていねいに書くようにしたら先生に褒められたから、好きになった!」と言う子もいます。

こどもにより様々な理由がありますが、結果的には次のようなことが共通していました。

つまり、漢字が得意な子は

  • 字を書くのが好き。
  • 習った漢字を使えるのが嬉しい。
  • 字がきれいだと気持ちがいい。
  • 漢字は意味もあるから、面白い。  と感じているようです。

 

なるほど、これならばどんどん覚えて上手になるわけだ と 納得できます。

今後ますます増えていく漢字を、早い段階のうちから合理的に覚えられるかどうかでも、

漢字学習にずいぶん個人差が開いてしまうことは想像できます。

 

漢字の苦手な子がはまりやすいパターン

そこで、漢字の苦手な子の実際の様子を観察していくと次のような点が見えてきました。

 

  • 自信がない漢字は書きたがらない

「だってめんどくさいもん」と言うのが、漢字をあまり書かない子の言い分です。

しかし、こんな子も自分の名前と学校の名前などの、普段からよく使う漢字は、ちゃんと書いています!

つまり本当の理由は、『正しく書く自信がないから、とりあえずひらがなですませる』ことが多くなり、

『ふだんから書き慣れていない漢字は、使わないでおくことが習慣になってしまった』と言う流れのようです。

 

  • 苦手に気づいたときの分かれ道

中学年(3,4年生)ともなると、少しずつ漢字が苦手な自分に気づき始めます。

この時期も、一つの分かれ目です。

自分で弱点を認めて努力して覚えていこうとするか、または、ひらがなの多い文面でも一向に気にせず突き進むか、二通りの方向に分かれます。

またこの時期は、すなおに「漢字がおぼえづらい」と認めることにも抵抗感が出てくる年齢です。

ひらがな主体の文を書く子には、どうも「べつに漢字を使わなくてもいいんだ」とか「てきとうに書いちゃえ」と言う心理が働くようです。

 

  • うろ覚えがミスの原因になっていく

「めんどくさい」という言葉が、苦手な子の気持ちをストレートに伝えています。

つまり、こんな悪循環になるようです。

めんどくさいから、てきとうに書く

    ↓

間違えたこと自体もあまり気にしないので、どれが覚えにくい漢字かどうかも、よくわかっていない。

    ↓

なんとなく形が似ていれば、書いたつもりになる。

    ↓

一度は覚えた漢字が、記憶の中でごちゃごちゃになり、似たような字を書いてしまう。

 

漢字を苦手とする子供たちの中に多く見受けられるのが、「うろおぼえ」をそのままにしてしまうタイプ。

だから、同じま違え方を何度も繰り返し、一層漢字が嫌いになるのです。

 

  • 何度も書いて覚える方法は、いちばん苦手(苦痛)で逃げがち。

大人でも、あまり得意でない作業はなかなかモチベーションがあがりません。

ましてや、小学生ならば、なおのこと「苦手なことからは逃げたい」と思うのは当たり前です。

従来の「同じ漢字を数多く書いて覚える」方法は、モチベーションがあがるやりかたではありません。

数多く書いているうちにどんどん、手本の字形から離れ、自己流の字を書いてしまう問題も浮かび上がってきました。

この原因としては、漢字練習の時必ずしも正しい字を手本として見ているわけではないことが、指摘されています。

つまり、一字書くたびにお手本をきちんと見ているわけではなく、たった今自分の書いた字を見ているので、形の崩れに気づかないからだといわれています。

数をこなすことが目的になってしまい、丁寧に書くことや、よく見て書くことが二の次になってしまいます。

 

 

このように見ていくと、書くたびに少しずつでも自信がつくようなやり方も、考えるべきではないでしょうか。

現代の子どもたちは手順の多い作業は苦手だということを踏まえて考えていく必要がありました。

 

学年別の新出漢字早見表を『お助けグッズ』として使い、すぐに自分で修正する習慣をつける

そこで発想を変え、思い切って学年ごとの【進出漢字早見表】を活用してみることにしました。

まずは補習教室の時間等、限られた時間内での個別の対応での利用から始めてみました。

 

以下のルールも担任の先生と相談のうえ、決めました。

1)新出漢字表を使うのは、前学年までの漢字にとどめる。

2)自分で頑張ってみてもやはり思い出せない時や、書いた字に合っているかどうかの自信がないときに使う。

3)早見表を見て書いた漢字には、チェックを入れる。

4)早見表を見て書いた漢字は、その時必ず3回はていねいに書く。

5)早見表を使うのは楽をするためではなく、「正しい漢字を探し、きちんと書き写すことからがスタートだから」と伝える。

 

ちなみに5)に関しては、なかなか意識してもらうのは難しいのですが、「今までにはやらなかった別の方法」として、子供たちが感じてほしいと思ったからです。

 

  • 実際に使ってみた子供たちの反応や感想

どうしても漢字が思い出せず、考え込んでしまっている子に【お助けグッズ】として、早見表を見せました。

とたんに、どの子も目が輝きます。

 

面白いことに、子どもの中でもあまり時間がかからずに探せる漢字と、かなり時間がかかってしまう漢字がありました。

また、複数の子どもたちで探すべき漢字が共通していた場合には、探し出す速さにずいぶん個人差がでることもわかりました。

 

この探し出す速さの差は、その漢字のイメージを持って探している場合と、断片的な記憶だけで探す場合の差ではないかとも、推測できます。

ここら辺を丁寧に観察していけば、もっといろいろなことがわかりそうです。

 

 

早見表の試験的な使用後、子供たちからは次のような声を聴くことができました。

 

・なんだかおかしいかな~と思っていたのが、正しい漢字がわかってすっきりした。

・辞書を引くのは面倒でやる気がなくなるが、これだと早くて使いやすい。

・今まではたくさん間違えているので、漢字は嫌だった。でも、こうやって自分で正しい字が選べるのがわかって安心した。

 

初めに決めたルールもきちんと守ることができ、ていねいな字を書く気持ちも戻ってきたようでした。

 

まとめ

 正しい漢字を見つけて、視写することも漢字の練習になる

この試験的な試みを通じて、早見表の活用はおうちでの宿題や、作文の時には、十分に効果があると思いました。

漢字テスト直前のおさらいにも、もちろん使えます。

早見表を使うことで、子どもの気持ちも積極的になるのがわかりました。

辞書を引いて調べるという正統派のやり方ではありませんが、大人がネット検索をするのと同様、早くて確実な方法も使える方が良いのです。

 

うろ覚えの漢字を書いて、赤ペンで書き直しさせられるよりも、不確かな記憶の漢字は自分で探し出して正しく書き写す方が、子供自身の力になるのは一目瞭然です。

 

子どもたちに必要なのは、自分の覚えやすいやり方を身につけていくこと。

自立への道のりとしても、このお助けグッズ「新出漢字早見表」の活用は、効果がありそうです。

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